私が登山にツェルトを常用する理由

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山用品

登山を初めてほぼ8年。テン泊するときは、ツェルトを使ってきました。なぜ、快適な山岳テントではなく、ツェルトなのか。ツェルト泊を考えている人の参考になればと思い、私がツェルトを常用する理由を書いていきたいと思います。

私がツェルトを使う理由その①安いから

最初にツェルトを手にした理由は値段でした。キャンプ用の重たいテントは1万円くらいでも購入可能ですが、山岳用の軽量テントとなると3〜4万円以上します。当時、大学生の私には大金。もっと安くて登山に使えるものはないのかと、ネットで調べているうちにツェルトの存在を知りました。値段を見ると約1万円とテントの3分の1で購入可能。当時の私にとっては、これだ!というアイテムでした。ツェルトの中でも最安値のoxtosのコンパクトツェルトという商品をたしか8000円程度で購入しました。今でも補修しながら使っているメインテントです。

8000円(当時)

私がツェルトを使う理由その②軽いから(最近はテントも軽くなってきて、そうでもないけど)

2つ目の理由は軽さです。最近はウルトラライトも当然のようになってきていますよね。やはり登山において軽さは正義!

私の使っているoxtosのツェルトは1人用で約385g。これに

  • ポール:200g
  • ペグ8本:130g
  • ガイライン:50gくらい
  • グラウンドシート:70g
  • スタッフサック:30g

が加わって総重量は約865g。軽量の一人用山岳テントでも1kgは超えるので、それよりも軽いのです。ただ、最近は山岳テントも軽量化が進んできて、軽さのメリットは薄れてきています。社会人になって金銭的に余裕が出てきてからは、山岳テントの購入を考えることもあったのですが、4万円近いお金を出す上に今ある装備よりも重くなると思うと積極的に買い換える気にならならず、結局ずるずると今まで使っているというのが現状です。

 大きさはレインウェアくらいのイメージ(左にある赤いのはツェルトポール)

私がツェルトを使う理由その③底割れ式の床が便利。

緊急時用の道具として、1枚の布状に使えるようにツェルトは底が割れています。使ったことのない人にとっては、「ちょっと待って、底が割れてるってどういうこと?」っていう感じだと思いますが、割れているのです。底面の布は真ん中で分かれていて、左右の布を連結するための紐が付いています。通常は紐を結んだ状態で使用するのですが、入り口付近の紐だけを解くと、入り口側に土間を作ることができるのです!これが意外と便利で、ツェルトの中に登山靴を履いたまま入ることができて、ツェルトの中で靴の脱ぎはぎが可能になるのです。特に、雪の積もっている時期、アイゼンの脱ぎはぎを室内で出来るのは、テントには真似できない大きなメリットの一つです。

さらに、底割れ式によるもう一つの利点が、室内の汚れが気にならないこと!昔、ドーム式のテントでツーリングに出かけたことがあるのですが、テント内に入り込む土汚れがすごく気になってました。ドーム式テントってしっかりしてる分、「テントの中は室内!」という感じで汚れを持ち込むことに抵抗があるんですよね。その点、ツェルトだと底割れの布の隙間から地面が見えているので、”外と内”という境界がありません。土が入ったって手で払えばいいさ〜っていう風におおらかな気持ちになれます。タープ泊とか、フロアレステント(底布がないテント)で寝泊まりする感覚に近いものがあります。汚れも手で払ったり、撤収の時にはもバタバタ振るだけでほとんどの汚れが落とせます。これもツェルトにしかないメリットですね。

私がツェルトを使う理由その④洗濯機で洗える。

重さ385g。スタッフバッグに詰めればレンウェアと変わらない大きさのツェルト。泥だらけになっても、洗濯機でも簡単に洗えて風呂場で乾燥させることができます。メンテナンスしやすいのもメリットですね。

私がツェルトを使う理由その⑤自由な設営スタイル

そもそも、いろんな状況で使えるように考えてつくられているものなので、設営の自由度がすごく高いです。基本的にはツェルト用のポールを持っていって、ツェルトの前後にポールを立てるオーソドックスなスタイルで使用しています。メジャーな応用編としては、ポールの代わりにトレッキングポールを使うというもの。ツェルトポール分、重量を節約することができます。他にも、登山ではあまりしませんが、木の枝をポールがわりにすることもできます。要は1mくらいの硬い棒があれば、設営かのうなので、万一ポールを忘れてしまっても現場でリカバリーすることが可能です。ドームテントの場合はこうはいきませんよね。骨組みのポールを忘れてしまうと、ただの大きな袋にしかなりません。

他にも、沢沿いや樹林帯に設営する時には、ポールを立てずに立ち木に固定することもできます。ツェルトの屋根から出ているガイラインを木の枝にくくりつけたり、木と木の間のロープを張ってそこにツェルトを吊るしたり、創意工夫でいろんな貼り方ができます。

私がツェルトを使う理由その⑥なんとなく

色々理由を述べてきましたが、今現在において私がツェルトを使う理由としてはこれがダントツの1位です。そう、なんとなくです。上でも書きましたが、山岳テントの購入も頭によぎりながらも、「ま、今のままでもいいか」というのでこの8年やってきている感じです。ちなみに雪山登山もツェルトでいけました。まあ、クライマーの人たちが岩の上で使っていることを思えば、選択肢をしては全然アリでしょう。

その他ツェルトのメリット

  • 通気性が良いので、中でガスを使っても酸欠になりにくい。
  • 撤収が楽。ばさばさふって汚れを払い、スタッフバッグに詰め込むだけ)
  • 意外と強風に強い。なびいて風を受け流し、最悪の場合でも倒壊するだけで、テントのようにポールが折れたりしない。
  • テント場で見つけやすい。
  • 玄人っぽさを醸し出せる。

と、ツェルトの良い面だけつらつら書いてきましたが、もちろんメリットだけではありません。軽さと安さの裏にはデメリットもあります。まあ、想像通りのことで、ツェルト常用を躊躇する理由がこれらのことだと思います。

ツェルトのデメリット①設営にコツがいる。(慣れれば簡単)

ツェルトを常用する上でまず課題となるのがその設営方法。うまく張らないと布がたるんで、中の居住空間をきちんと確保することができません。また、夜中に風で倒れて、設営のために外に出てポールを立て直すという事もあります。ツェルトの4隅の張り具合や、ポールを地面い固定するガイラインの角度など安定して立てるためには少し経験が必要です。

ツェルトは緊急時用の装備として推奨されているアイテムですが、何度か練習しないと緊急時の焦っている時に張るのは難しい気がします。

きれいに張れないとだらっとなる
きれいに張れないとだらっとなる

ツェルトのデメリット②雨に弱い

はい、出ました。やはりこれです。雨に弱い。シングルウォール式のテントの宿命です。本体の布は、撥水生地であって防水の布ではありません。ダブルウォール式の山岳テントも防水布ではないのですが、外側のフライシートが雨を一度受け止めるので、中のインナーに水滴が直撃することはありません。ですが、シングルウォール構造のツェルトの場合、雨が直接布に当たるため、雨の勢いが強いとどうしても染み込んできます。特に天井の縫い目部分が弱点で、シーム処理をしていないと大雨の場合、ツェルトの中に小雨が降ることになります。

大雨を経験してからは天井にもしっかり、シーム処理をするようになりました。この状態であれば普通の雨程度ならなんとか凌げます。ただ、地面がびしょびしょになると防ぎようはありません。そもそも底の布が割れているのと、底面の耐水あるもそれほど高くないので大雨になるとツェルト内がプールになるという話は聞きます。(自分は幸いにもまだそこまでは経験ありません。)

ツェルトのデメリット③結露がすごい

これもシングルウォール式テント共通のデメリットです。基本的に山のテン場は夏でも気温5度以下になるような場所ばかり。中に人がいると、体からの水蒸気や呼気が結露してツェルトの壁に水滴となってくっつきます。中で煮炊きをしようものなら、ものすごい量の結露になります。加えて、ツェルトは中が狭いのでその結露が衣服に付いて、濡れてしまいます。そのための対策として①ツェルト内でも防水or撥水のウェアを着る。②結露をこまめにふく必要があります。あとはシュラフも濡れてしまうので、シュラフカバーもあったほうがいいです。(撥水シュラフなら大丈夫なのかもしれませんが、自分は保温性アップも兼ねてシュラフカバーも常用しています。)

ツェルトのデメリット③隙間風が入る

構造上、密閉することができないので、どうしても隙間風が入ってきます。テント内は自分の体温や煮炊きの温度で外気よりも少し高くなるのですが、隙間風によってせっかく温まった空気も逃げてしまいます。反面、酸欠になりにくいというメリットにもなっているのですが。

ツェルトのデメリット④バサバサうるさい

デメリット①と似ているのですが、どれだけ綺麗に貼ってもやはり多少はたるみます。風が強いとたるんだ布がバサバサたなびいてうるさいですが、音に関しては意外となれます。むしろ、周りの人がうるさがってないか心配。あと、風が強いと布がツェルトの内側に押されて居住空間が狭くなります。左右の壁についているサイドリフターというガイラインで、壁面を外側に引っ張ることで多少マシになります。

メリット、デメリット両方あるツェルトですが、トータルで見るとメリットの方が大きいと思います。普段からツェルトを使用することで、緊急時への備えにもなりますしね。ツェルトに興味がある方は是非参考にしていただければと思います。

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